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Welfare Support|言いたい・伝えたい

No. 007

日本リハビリテーション連携科学学会
平成18年度公開研究会 〜当事者の視点から〜

「当事者の視点からみた個別的支援と連携の課題」

講師:特定非営利活動法人バーチャルメディア工房ぎふ
上 村 数 洋

1.はじめに

 今、障害児者の福祉や教育をとりまく環境が大きく変わろうとしている。そうした中で今回、公開研究会に参加の機会を頂き、改めて、受傷後自分の受けてきた支援を振り返り、障害者の社会参加における個別支援の必要性について考えると同時に、10月1日より移行の始まっている「障害者自立支援法」の取組みの中でのあり方や問題点と課題、連携の必要性について、私なりの思いと考えを述べてみたい。     

2.社会参加の過程で、私を支えてくれたもの

 障害者が、自分の障害を受容し社会参加を目指す時、幾つかの要因が考えられる。25年前、交通事故により頸髄(C-4)を損傷し四肢の機能を失った私のは、(1)経済面も含めた家族の支えと、(2)失った手足の機能を補ってくれるリハビリテーション工学との出会い、(3)励まし支えてくれた多くの人との出会いがあった。中でも、リハビリテーション工学による技術的支援は、その後の私の生活に大変大きな力を与えてくれたといっても過言ではない。

3.当事者による地域支援活動の問題点と課題について

 障害の受容と共に復職・就労への思いがつのり、周囲の仲間も巻き込み様々な模索を始めた。試行錯誤を繰り返す中で、ふと気がつくと、いつしか取組みの中で支援側に立って飛び回っていた。 以下に、その取組みの簡単な紹介と、その中での問題点や課題等について紹介する。

3-1「福祉メディアステーション」における取組み
 現在、障害者のIT活用上における国の支援施策の中に、ITサポートセンターの取組みがあるが、岐阜県では他に先駆けて、平成8年より同じ目的のもとに支援事業をスタートし、その中心拠点として「福祉メディアステーション」を設置した。ここで私は、受傷直後より日本リハビリテーション工学協会に籍を置き、当事者の立場から福祉機器の研究開発の現場に関わりを持っていたこともあり、企画運営アドバイザーとして、同じ障害者からのIT機器活用へのサポートから生活全般に対する相談の対応に当たっている。
 ここでの問題点は、(1)予算措置のあり方と展示機材の更新の遅れ、(2)相談者総てを支援することの出来ない制度の壁とシステムのあり方をはじめ、昨今増えている全国のサポートセンターとも共通の課題だと考えられる、(3)支援技術から障害特性まで分かって対応のできる人材の不足と、支援体制並びに拠点整備の遅れがあげられる。

3-2「バーチャルメディア工房ぎふ」における取組み
  平成8年に、テレビのクイズ番組に出場して得た賞金で4セットのパソコンを購入し、自主的に研修のできる作業所を作ると同時に、同じような試みを始めている人達に呼びかけ、連携・協力のできる研究会も立ち上げた。
 そうした取組みが、廻りの障害者の就労への意識の高揚につながり、平成10年より岐阜県の指導と支援の下、一般の職場では就業の機会が得難い重度の障害者を対象に、主としてITを活用した社会参加と経済的自立・就業の機会創出の支援を目標に、在宅就業支援の取組みを始めた。平成14年度より、国の「重度障害者在宅就業推進事業」の支援機関の指定を取得し、障害者の支援のみならず、障害者の雇用と就労に理解と関心を持つ企業や支援機関に対して、情報提供や啓発活動へと取組みの幅も広げ展開している。
 本年4月1日より障害者雇用促進法が一部改正された中で、これまでの実績が認められ、厚生労働大臣による「在宅就業支援団体」として、岐阜県第一号(全国で6団体が認定)の登録を取得することができた。
 日々の指導・支援の取組みの中で、大きな問題として頭を痛めていることに、(1)個性や力量に加え、先天性・中途障害の別や就労経験の有無、年齢等による意識的格差、(2)学校教育や家庭環境による社会性の違い、(3)教育と感性のバランスとあり方、C働くための社会環境の未整備、D障害の度合と在宅就労によるストレス対策、E制度も含む介助・介護の問題、等がある。そして、それらの問題を解決する上からも、(1)生活基盤の整備をはじめ、(2)個々の障害に合わせた職業リハビリテーションと、(3)小さい時からの教育をはじめ、あらゆる分野との連携が必要であり、(4)障害者の就労を支えるための資源(人材育成と確保・支援技術)と公的支援や、(5)受け入れる社会=器としての企業の意識と役割、連携は必要不可欠だと考えられる。

3-3 福祉工房「Kid's Dream」における取組み
 平成12年より、JR岐阜駅高架下再開発事業の中で、県より「福祉の取組みを・・・」との依頼を受け、8坪のスペースを借り受け「障害児・者の何でも相談コーナー」とコミュニケーショ支援を中心とした福祉用具の展示をはじめ、当事者への情報や相談に応じ医療機関や行政との橋渡し等もする取組みを始めた。
 最近は、利用者からの要望もあり木製の知育玩具や訓練用具を揃えているうちに、玩具屋の装いになりつつあるが、我が子の障害を認知しきれない親達にとっては、逆に入り易さと相談のし易さがあるようで、相談は月に20件以上あり、幼児の構音障害等の訓練や自閉症児の教室の開催、障害児の職場体験のお世話などもしているほか、毎年、障害者や福祉への理解と啓発を目的に、福祉機器の展示や、各分野から講師を招き福祉セミナーも開催している。併せて、駅という不特定多数の人が往来する地の利を活かして、障害者の就労への理解が得られればと、スタッフ全員が車椅子利用者で、就労実践の場としての模索もしている。  

4.障害者自立支援法への動きの中で

 10月1日より、既に、これまでの支援費制度より自立支援法への移行が始まっているが、今後、障害者一人一人の生活の構築や社会参加の上において、大きく左右してくると思われる「障害者自立支援法」について、制度の利用者の一人として思いを述べてみたい。

4-1 障害者自立支援法に、なぜ反対しなかったのか
 同法制定にあたり、全国の障害者や団体が猛反対をする中、私は、あえて反対の意思表示をしてこなかった。これまで就労支援の取組みに関わってくる中で、同法に就労の支援策が盛り込まれるとの情報を得ていたこともあり、就労支援施策への期待と、既に支援費制度の中で、当事者が制度のカバーしていない部分に対し「基準該当居宅介護支援事業者」としての取組みを始めており、そうした人達の取組みを見守りたいと思っていたからだ。

4-2 障害者自立支援法にみる問題点と課題
 同法の最大の問題点は、(1)当事者の生活がみえていない、声が届いていないのではないか、(2)「支援費制度」における問題点が解決されないままのスタートではないのか、と私は思っている。4月1日以降の取り組みにおいて、下記の問題点をあげたい。

1.当事者への制度の周知・広報のあり方について

2.各市町村の窓口担当者の理解不足と手続きのあり方について

3.全国格差を残したままでのスタート

4.「受け入れる社会」の無いままでのスタート
等々の問題点が発生してるが、こうしたことはDでも挙げたように、当事者と行政、事業者等の綿密な打ち合わせや連携がとれていれば、ほとんど解決でき発生しなかったとも考えられ、かなり以前から言われているように、今後は施策決定の場への当事者の参加は欠くことのできない要件として位置づける必要があると思っている。 

4-3 ホームヘルプ・ヘルパー制度のあり方について
 障害者自立支援法が施行される中で、ニーズ的にも同法の運用上のカギを握ると思われるものの一つにホームヘルパーによる家庭への訪問支援サービスのあり方が挙げられると思うが、現状では、幾つかの問題点を指摘する声が聞かれるので、実際に利用する中での思いも併せてまとめてみる。

1.ホームヘルパーの意識と質について

等々があり、そうした事への対応策として、Aホームヘルパーの養成(内容も含む)並びに認定制度のあり方が問題であり、更には、各自治体による Bサービス事業者認定を含む制度のあり方にも問題があると考えられる。     

5.障害者が社会参加を目指す中で

 上記の件も含め、一つの制度をよりよいものとして定着させるには、幅広い分野間においての理解と連携が必要であり、役割の分担が必要だと思われる。

5-1 社会としての役割
1.産官学民による連携と支援体制の必要性

5-2 当事者としての役割

6.おわりに          

 私達障害者は、何らかの形で支援を受けて生活をしている。でも、それは決して福祉の名の下で保護的措置に甘んじるのではなく、一つ一つの課題に真摯に向き合い、社会の一員としての意識と自覚をもち、しっかりとした解決策と道を見出し、目標や強い目的意識を、外に向かって声を出すことにより、自他共に不可能と思えるようなことでも実現可能にできると思っている。
 私達を見守り支援してくれる人達=社会が、より理解を深め、信頼し、社会の一員として受け入れ、活かす場さえ与えてくれるのであれば、自らの力で問題にぶち当たり、乗り越え、道を拓いていけるのではないだろうか。そんな時が少しでも早くくることを心より願っている。

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